看護小規模多機能型居宅介護「なかみちの里」における
医療依存度の高い利用者様への対応

bunnar

看護小規模多機能型居宅介護は、看護師の配置基準が常勤換算方法で2.5人以上(1人以上は常勤の保健師、看護師)となっている。単独の通所介護施設における看護師の配置基準は、10人以下の小規模の場合は、看護職員、又は、介護職員を1名以上、10人以上の通所介護施設の場合は看護師1人以上となっているため、看護小規模多機能型居宅介護の看護師の配置は、設置当初から多く定められている。
これは、看護小規模多機能型居宅介護が、医療依存度の高い在宅要介護高齢者を対象とした多機能化サービスであり、看護師によって利用者の症状変化の早期発見、早期の看護介入を行うことで在宅療養を継続するためである。
当事業所では、令和4年11月時点において常勤換算方法で3.6人、通いサービス及び訪問サービスにおいては、利用者の人数に関わらず、必ず各1名以上が配置になっている。

表1.看護小規模多機能型居宅介護「なかみちの里」で実施可能なケア内容

現在実施の有無
1.血圧・体温測定
2.病状の観察
3.入浴、シャワー介助
4.皮膚ケア
5.口腔内ケア
6.排泄援助、陰部洗浄、清拭
7.移動・移乗の介助、体位交換
8.本人の療養指導
9.本人の心理的ケア(傾聴を含む)
10.看取り時のケア(ターミナルケア・緩和ケア)
11.服薬援助・管理(点眼薬、軟膏、坐薬等を含む)
12.注射・点滴
13.中心静脈栄養
14.慢性的な痛みの管理
15.血糖測定
16.経口摂取援助(食事、水分を含む)
17.経鼻経管栄養・胃ろう・経腸栄養
18.褥瘡の処置
19.けが、傷の処置
20.吸入・吸引
21.気管切開の処置
22.酸素療法管理(在宅酸素、酸素吸入)
23.膀胱洗浄、膀胱カテーテル管理
24.排便のケア(浣腸・摘便)
25.人工肛門・人工膀胱の管理
26.人工呼吸器の管理
27.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の管理
28.四肢・体幹のリハビリテーション
29.呼吸リハビリテーション
30.嚥下リハビリテーション
31.家族への介護指導
32.家族への心理的ケア
33.腹膜透析の出口部の処置
34.認知症のケア
35.がん末期の疼痛管理
※実施していない項目について、対象となる利用者様がいないため。
【事例紹介】退院直後で状態が不安定だったケース
利用開始の経緯意識障害にて救急搬送され、入院したが、病状落ち着き、退院予定。高齢夫婦世帯で妻に認知症あり、退院後の生活に不安があると家族から相談を受ける。
サービス内容退院後14日間:通所と泊まり 退院後15日以降:週3回訪問介護、週1回訪問看護、週3回通所
主な看護行為●病状の観察、血圧・体温測定、 ●服薬管理:自宅の食卓に内服薬をセットするシートを作り、毎日の訪問時に朝食後、昼食後、夕食後の3回分の内服薬をセットする(介護職員が訪問時も実施)。内服忘れがあれば、促す。 受診後の処方薬を一時預かり、日付と指名を記入し、次回受診日の調整を行う。 ●排便コントロール:受診時に医師に排便状況を報告し、便秘の内服薬の調整を依頼する。指示により定期的に坐薬を入れる。 ●体幹リハビリテーション:生活リハビリテーションを中心に日中の活動を促し、なるべく手を出さないようにする。 ●けが・傷の処置:自宅での転倒時の外傷を早期発見し、傷の洗浄、軟膏塗布、保護、観察を行う。 ●褥瘡予防:自宅の椅子の座面が硬く、皮膚トラブルになりかけていたため、車椅子用クッションの貸与を行う。
利用前後の利用者の変化退院時 自力歩行不可、車椅子にて移動、認知症状があり排便の有無が確認できない。便秘気味。薬を飲み忘れる。 利用後 自力歩行可、排便を確認できるようになった。内服薬の飲み忘れがなくなり、意識障害の再発なし。
緊急時の対応●妻より自宅で転倒し、起き上がれないと電話があり、訪問。立ち上がりを介助し、外傷がないのを確認する。 ●訪問時反応が鈍く、様子がおかしいと介護職員から報告をうけ、訪問。室温高く、熱中症疑われ、水分摂取、アイスノンで冷やす、室温の調整を行い、意識がはっきりしてくる。食事摂取し、いつもの様子になる。翌朝、確認の電話をする。 ●通所時、黒色便があり、消化管出血の疑いがあり、受診。血圧低下みられ、心配のため、急きょ泊まりとする。夜間、落ち着きなく、様子がおかしいため再度受診、総合病院を紹介され、受診後入院となる。
看護小規模多機能型居宅介護、利用前のサービス利用状況:利用なし

併用するサービス:福祉用具貸与(ベッド、ポータブルトイレ、車椅子)